それでは伝えるために必要なものってなんでしょう。
それは「聞いたら最後、他の人に言いふらしたくなるネタ」です。しっかりと整理されている情報はそれだけでも立派に価値があるものです。しかし、そこに「感情的な裏話」「ドラマティックなエピソード」なんかが加わると、人から人に伝わる「ネタ」に生まれ変わるのです。
製品のスペック(サイズや価格等の情報)は、お店で実物を見たらわかるものがほとんどです。しかし! 言い方を変えれば「見なきゃわからない」ということになります。
テレビや新聞、雑誌は、メディアです。店舗ではありません。さすがに実物を読者の目の前に提供する訳にはいきません。あくまで映像や写真です。つまり、「見て触ってもらえれば一目瞭然」のスペックを説明することに一所懸命になったとしても、読者や視聴者に対しては「伝わりにくく」なってしまうのです。
記者や番組制作者が読者や視聴者に伝えるべきこと。それこそが、「商品やサービスの生い立ち」「創業者の熱い想い」「事業に携わる人々の心意気」「胸を張れる会社のポイント」等々。つまりは皆さんが準備した情報に「感動できる」ストーリーがあれば、メディアは「伝えやすい」のです。
記者や番組制作者は、皆さんの商品やサービスの広告をしてくれる訳ではないのです。あくまで読者や視聴者に対して有益な情報を提供できるか。「有益」という言葉を噛み砕いてわかりやすくすると、「聞いたら最後、他の人に言いふらしたくなるネタ」です。
商品そのものの情報が人から人に伝わりにくいとしても、感情に訴えるストーリーは、「伝える」ために皆さんが紡ぎ出さなくてはならないプレスリリースのポイントです。
それでは、具体的に「伝える」ための「感情に訴えるストーリー」とはどんなものでしょう?
実はそれらの多くは、皆さんが目にしており、耳にしている、言うなれば「日常」にたくさん散りばめられています。
たとえば10歳の誕生日。
人生って「人が生まれる」と書きますよね。生まれてくるだけでも奇跡なのに、10歳の誕生日を迎えるなんて、毎年、毎月、毎日、毎時、毎分、毎秒、どれだけ奇跡が折り重なっているのでしょう。
そんな大げさないと思われる方もおられるかも知れませんが、否定はできないと思うのです。誕生日に至るには、その人と周りの人々、今まで関わった人々の壮大なストーリーがあるはずなのです。
つまり、ストーリーはすでに存在しているのです。その価値に「気づくことができるかどうか」なのです。
そう考えると山ほどありますよね。友人が結婚した。親戚に子供ができた。甥っ子が無事就職できた……等々。
それぞれの事柄の「ウラ側」には、折り重なった奇跡が存在するはずなのです。
「商品やサービス」「創業者」「社員」「会社」等々。そのウラ側の価値に気づくこと。「言いふらしたくなる」ストーリーはそこから導き出すことができます。
